株式会社マスダ

株式会社マスダは、医療機器や光学機器等の精密機器の部品加工や組み立てを中心に行う製造会社です。設立したのは昭和37年。もともと金属加工業を柱として始まった同社ですが、20年ほど前から、村内でとれた大豆を使って豆腐やかりんとうの製造・販売を行う食品事業も手がける、ユニークな会社です。代表取締役の増田清さんと、専務取締役の増田博さんにお話をうかがいました。

強みは精巧な加工技術



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事業の柱は、医療機器や光学機器の部品製造と組み立て。内視鏡手術に使われる処置具の先端部分や、手術用の超音波のメス、顕微鏡等、高度な精密さが要求される製品を多く製造しており、複雑で精巧な加工技術が同社の強みです。

「他社が簡単には真似できないような、小さくて複雑な形状のものや、加工しにくい材などに積極的にチャレンジしています」と力強く語る増田専務。そんな高度な加工技術を可能にしているのは“人材の育成”と“設備投資”だと言います。



国内で生き残るために



同社で人材育成に力を入れるようになったのは、7、8年ほど前から。「当時、いろんな産業が海外に流出し、日本から仕事がどんどん出て行く中で、じゃあどういうものが日本で生き残るのかを考えた時、やはりそれは小ロットものや短納期のもの、そして“高度な技術を要したもの”だと思いました」と増田専務。

確かな技術力を持った社員を育てるため、同社には入社した社員がまず入るという“道場”があります。ここでは、技術指導担当の社員が教官役となり、新入社員に現場に出られるだけの技能を身につけるのだそうです。
またこれ以外にも、社員の国家資格取得も積極的に推奨しており、そのための指導や設備、時間を、社員に用意するのはもちろん、資格手当や報奨金等も整えることで、社員の技術向上に対するモチベーションにアップにもつなげています。
「定期的に設備投資をしていますが、良い機械があっても、それをフルに発揮させられるのは結局“人”です。他社に優れた最新の設備と、それを使うことのできる人材の両者が必要」と増田専務は力をこめます。



宮田とうふ工房



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そんな、金属加工を専門とする会社が、なぜ食品事業を立ち上げたのか?増田社長に尋ねてみました。
きっかけは、20年ほど前、転作で大豆を作っていた村内の農家から「せっかく大豆を作っても売れない」という声が、増田社長のもとに届いたことだと言います。
これに対し「豆腐屋に売ればいい」と増田社長は答えたそうですが、値段の安い輸入大豆の使用が一般的で、価格の高い国内大豆はなかなか買い取り手がいなかったことに加え、その頃ちょうど村内にあった豆腐屋さんが何件か続けて廃業してしまったのだとか。そんな背景もあり、村の大豆の活用を目的に、同社の食品事業部「宮田とうふ工房」はスタートしたそうです。

現在宮田で作られた大豆は全て買い取っており、農家の方からはとても喜ばれているとのこと。「そんなに大きな志があったわけじゃないけど、宮田で作った大豆を使って作った豆腐を地域の人々に食べてもらっている。結果的に地域貢献につながっているのかな」と増田社長は微笑みます。
ちなみに、とうふ工房で使っている専用機の半分は、マスダで制作したもの。金属加工部門との連携もばっちりです。


こだわり



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宮田とうふ工房では、豆腐だけでなく、大豆を使ったかりんとうやドーナツ等も作っており、これらは全て厳選された地元産大豆と、中央アルプスの伏流水を使って作られた、安心して食べられる美味しい商品です。地域の方からの信頼も厚い宮田とうふ工房です。
2016年1月には、公益社団法人日本食品衛生協会による「食の安心・安全五つ星店」に認定されました。

使っている大豆は、「ナカセンナリ」。宮田村で作っている大豆は全てこの品種で、たんぱく質が少なく、甘味が強いのが特徴だそうです。豆腐はたんぱく質が多い方が作りやすいため、ナカセンナリを使っての豆腐作りには当初苦労されたそうですが、出来上がる豆腐には豊かな甘みがのっています。これに加えて、一般的な大豆は稲刈りと同じ時期に収穫作業が必要となりますが、ナカセンナリならば雪が降るまでは畑においておけるため、農家にとっても都合が良いのだそうです。

また、より良い水を使って商品を作るために、会社の敷地内にわざわざ井戸を掘ったとのこと。この水、誰でも汲んで良いように開放されていて、タンクを持った地元の方がよく水を汲みに来られるのだとか。「夜でも水を汲んでいけるように、最近センサー式のライトをつけたんだよ」と増田社長。地元の方々へのやさしさが伝わってきます。


今後について



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会社の今後の展望について尋ねると、「高度な技術力を保有して、その時の状況を見ながら生き抜いていきたい」と増田専務。「製造業においては、人や技術力、設備が高いレベルにあればその時の状況に応じていろんな方向性に舵を切ることができる。技術力を維持しながら、レベルアップしていくことが重要と思っています」と力強く答えてくれました。


社員は、基本的に地元の方を中心に雇用していますが、この村に居を構え、定住するつもりのある人なら歓迎する、とのこと。「自然に囲まれた中で、子どもを育てる環境としてもすごく良いと思いますよ」と、村の魅力も語ってくれました。


編集部から



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工業部門では常に最先端技術を追求し、他方で食品部門では地元の方々と一体となって安全でおいしい商品を提供する株式会社マスダ。どちらの部門もそれぞれにしっかりとした軸を持っている姿勢が印象的でした。
宮田とうふ工房の商品は、村内のアンテナショップでどなたでも購入できますので、村を訪れた際にはぜひお試しください!



加えて、増田社長は現在、ハウス2棟を活用し、レモンと金柑を育てており「使い道を考え中」とのこと。今後どのように事業と関連させるのか、会社の将来と共に楽しみです!